ヨーロッパのプロオケチェロ奏者になった道32
スイス。世界トップレベルのチェロセミナー
前回、なんのことなくスイスに到着した私は、早速観光してのんびりと過ごしました。
さて、今日からいよいよ巨匠ゲリンガス先生のセミナーが始まります。
1週間ほどのセミナーで、期間中は毎日レッスンがあります。
朝から午後までは12人の受講生が順番に、ゲリンガス先生から直接レッスンを受けます。
夕方は、セミナー最終日にある12人のチェロによるアンサンブルコンサートのリハーサルが入っていたり、もしくは休み。
↑12チェロという編成はこんな感じ
ホールで行われる公開レッスンやリハーサルですので、聴講生や関係者など見学者もいます。
つまり、常にみんなに見られているレッスンなんですね。メチャクチャ緊張するやつ。
ゲリンガス先生も世界の5本指に入る巨匠。
受講生も半分以上は、既に第一線で活躍する若手として有名な顔ぶれ。といっても凄さが伝わらないのでお一人だけ紹介すると↓
フランスのフラムコンクール、ブラームスコンクール、ウィンザー国際弦楽コンクールなどで優勝されているロンドン在住の日本人伊藤悠貴さんも受講生として参加されていて、セミナー期間中はとにかくお世話になりました。
↓伊藤悠貴さん
過去にはソルガベッタさんやヨハネスモーザーさんなど超すごいチェリストも生徒として参加しています。興味ある方はググってください。
こんな感じで、チェロをやっていれば誰でも知っているような、それこそ憧れの若手演奏家たちがこぞって集まるんです。
彼らと同じレベルに立って、公開レッスンは見学されるし、アンサンブルの1メンバーとして演奏会にも出演するんです。
そりゃ死ぬほど緊張しますよ、、、笑
一般的な心臓だったら当たり前ですよね…?
私は日本からひょこっとやってきた無名学生です。こんな濃いメンツに囲まれたら、普通にあなた誰???ってなります。
阿部寛さんと、北村一輝さんと、大谷亮平さんと、伊瀬谷友介さんと、竹野内豊さんと、なぜか僕、、、みたいな、、、
中学校の時に、別クラスの友達に個人的に用があって行った時に、あれ誰だっけ?何組だっけ?何しに来たの?っていうみんなの視線を感じてなんか申し訳ない気持ちになっちゃう、、、みたいな、、、
おでんの具材で言うと、要らないって言われがちだけどなんか見かけるジャガイモとかウインナーの気分、、、みたいな、、、
考えても仕方のない事を黙々と考え、私は不安と緊張で一杯になっていました。
こんなしょうもない事で緊張するなんて、舞台が仕事場である音楽家としては度胸が足りないんですけどね。これが大学3年の頃の私です。
スケジュールでは、私は初日は見学のみで、2日目の朝にレッスンの出番があります。
ですのでひとまず、今日は出番はないから大丈夫!と謎の先延ばし的安心感も感じつつ、
他の受講生の見学に臨みました。
見学席に座って待っていると、次々と人が集まりザワザワし始めました。
舞台では既に、最初の生徒がチェロを持ってイスに座り、チューニングなど準備を始めています。
そうこうしていると、ゲリンガス先生が現れました。
この時の私の感想は、
「圧倒的な巨匠の風格!…(緊張の汗)」
ものすごく大柄ではないのに、ものすごく大柄でズシーン、どどーん、としたオーラを漂わせていました。
ムーディな雰囲気で、機嫌が悪いと相当こわいだろうなって感じですが、とりあえず初日は機嫌悪くなさそうで良かったです。
そしてレッスンは始まります。
まず、生徒が演奏を始めました。
チェロの音「じゃじゃーん♬ジャンジャジャーーン♬」
パワフルな、カッコいい曲でした。
私はその演奏の出だしの数秒を聴いただけで、その音楽に引き込まれてしまいました。
「めっちゃうまぃ、、上手すぎる、、」
「これが世界のレベルか…(武者震い×汗)」
強烈の衝撃が全身に走りました。このレベルの生演奏をこんなに間近で聴けるなんて。
ゲリンガス先生は結構ノリノリで聴いています。音楽のテンポやメロディの流れに合わせて、軽く手や表情を揺らしています。
2分くらい経過した曲のキリが良い所で、先生は演奏を止めました。
私は正直、ええっ止めちゃうの??と名残り惜しく思いました。
とても情熱的でエネルギッシュ、曲的には荒々しさもあるけど、卓越した演奏技術で上手にコントロールされているからうるさくは感じない。
そういう感じの、私からしたら満点つけてもOKなくらい素晴らしい演奏でした。
そうしたらゲリンガス先生が言いました。
先生「まずは出だしの部分、もっとパワフルに弾いてみて。」
生徒「はい。わかりました。」
私「(メチャ充分パワフルだったと思うけど、これ以上強く弾くとかムリじゃない…?)」
生徒はもう一度、演奏します。が今度は先生がすぐ止めました。
先生「弱い。伝わらない。こんな感じ。」
ゲリンガス先生はそう言って、お手本を示すように自ら演奏をしてみせました。
チェロの音「じゃじゃーん♬ジャンジャジャーーン♬」
私「。。。。。。。。。。(なにこれ?笑)」
生徒の2倍くらいはパワフルでした。笑
もちろんパワフルだけど、暴力的ではなく美しい音なんです。
何度も言いますが、生徒もメチャ上手だし充分パワフルだったんですよ。
それを余裕で超えてくるゲリンガス先生の異常性。巨匠は次元が違いました。
そんな衝撃のレッスンは順調に進みました。
↓こんな感じで↓
先生の音「じゃじゃーん♬ジャンジャジャーーン♬」
生徒の音「じゃじゃーん♬ジャンジャジャーーン♬」
先生の音「じゃじゃーん♬ジャンジャジャーーン♬」
雑にまとめてすみません。
でも、こんな感じのレッスンだったんです笑
とにかくゲリンガス先生の異常性が印象的なレッスンでした。
「どうやったらそんな音でるの?🙂」
もう、そんな素朴な疑問を覚えながら、半分意識が遠のきながら、、、
そんな感じで初日は6人の生徒のレッスンを見学しました。見学だけでふらふらになった私は思い出します。
「あぁ、明日は自分の番だったな。。。😯」
読んで頂きありがとうございます
*本ブログに時々登場する下手なイラストは私の手書きです。自動書記ではなく自力で頑張って書いているので、ご了承ください。
サイキックでスピリチュアルで現実的なカウンセラー
自動書記ヒーリングアート画家
元ヨーロッパのプロオーケストラチェロ奏者
高橋勇輝
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