ヨーロッパのプロオケチェロ奏者になった道35
スイス最終日〜アンサンブルのプロになる!
約1週間、スイスの美しい自然に囲まれた最高のロケーション、最高の先生と仲間たちに囲まれ、最高の学びの連続の毎日でしたが、
ついに最終日!
12人の受講生による、チェロアンサンブルコンサートが催されます。
リハーサル初日は、私が周りの足を引っ張らないか不安で仕方ありませんでしたが、
私は案外上手くアンサンブルに乗ることができました。
人の演奏に合わせて、今その瞬間に必要な音を、適切な音色、音量、テンポ、リズム、タイミングで、自分の音を出すのです。
その為には、人の音と、自分の音、全てを同時に聴いている必要があります。
こうしたアンサンブル能力は、私が得意とする所で、世界のレベルでも通用したのです。
なぜ得意なのかと言うと、
その理由は今までの人生にありました。
私はずっと心を開ける友達がいなかった為、教室では常に孤独でした。
「声を発する」
という事を徹底的にしてこなかった私が何をしていたかと言うと、
教室のみんなの会話を同時に聴き取る遊びを一人で常にしていました。まぁ盗み聞きですが、黙っていると勝手に聴こえてくるので仕方がなかったです。
↑こういうゲーム的な感覚でした
また自分の意見や本音は隠して、他人の意見に笑顔で合わせるコミュニケーションだけをしていました。
本音を相手に悟らせないくらい笑顔は上手になりましたが、我慢も相当してきました。
その内に、相手の長所や短所、また求める事もわかるようになっていきます。
それが音楽においても、相手の音を常に聴くようになっていたので、
相手の長所をサポートする音
相手の短所をフォローする音
(必要と判断すれば)相手の求める音
アンサンブルにおける、あらゆる立ち回りができるようになっていました。
また、音楽における良い点は、日常とは違って、自分の思っていることをちゃんと音にして伝えられた事です。
私の名前は勇輝ですが、音楽のフィールドにおいて初めて「輝」の要素を発揮し、主役となって輝くことだってできました。
ですので私は、普段と演奏中で、多重人格のように人が変わるとみんなに言われます。
普段は、常に動じず冷静、柔らかく緩みきったアホヅラな笑顔で「うんうん。」と言って話を聞いている人に見えるでしょう。客観的に←
ですが演奏中は、超情熱的、かつ非常に切なくロマンチックな顔芸人になります。
スイスにて、私はこうしたアンサンブルにおける自分の変幻自在なカメレオン性を明確に自覚したのです。
そして12チェロアンサンブルの本番。
私は珍しく緊張していませんでした。
世界最高峰の素晴らしい音楽家たちとのアンサンブル、大成功の未来しか見えなかったのです。
そしてその通り、コンサートは最高の音楽時間として一瞬で過ぎ去ってしまいました。
私は今までの人生において何百もの舞台を踏んできましたが、その中でもトップ5に入る演奏でした。
1人暗い練習室で、血と涙を流し続ける終わりの見えない地獄の頑張りが、少しだけ報われたような、そんな幸せな音楽時間でした。
そうしてアンサンブルに自分の可能性と未来を見出した私は、海外のプロオーケストラに入るという夢を改めて明確にしたのです。
このコンサートの演目で私が気に入った曲を紹介します。ノリが良くて、カッコよくて、弾いていて最高に楽しかったです。もし良かったらですが、聴いてみてください。
12のチェロの為のボサノヴァ
(演奏はベルリンフィル12人のチェリスト)
この曲の面白いのは、手で楽器を叩いたり、声を発したり、変わった指示が楽譜に書いてあることです。ただチェロを普通に弾くだけではないんですね笑
無事にセミナーを生き残った私は、再度テキトーにスイスを観光して帰国しました☺️
ちなみにこの12チェロアンサンブルにおいて、いつも先生に怒られていた受講生の男の子がいます。名前はクリストフというのですが「弾けない人」としていじられキャラになっていました。しかしそんな彼も、このセミナー直後に行われたブラームス国際コンクールでけろっと優勝していました。いかにハイレベルなセミナーであったか…今思うとおそろしいです笑
↓クリストフが演奏している1分くらいの動画
読んで頂きありがとうございます☺️
サイキックでスピリチュアルで現実的なカウンセラー
自動書記ヒーリングアート画家
元ヨーロッパのプロオーケストラチェロ奏者
高橋勇輝
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